7
年前、
長野県の
特別養護老人ホームでドーナツを
食べた
入所者が
死亡し、
准看護師が
業務上過失致死の
罪に
問われた
裁判で、2
審の
東京高等裁判所は、
罰金刑とした1
審の
有罪判決を
取り消し、
無罪を
言い渡しました。
今回の
裁判は
医療や
福祉に
携わる全国の
関係者から
介護の
現場が
萎縮しかねないと
注目されていました。
無罪を言い渡されたのは、長野県安曇野市の特別養護老人ホームに勤める准看護師の60歳の女性です。平成25年、おやつの確認を怠り、ドーナツを食べた85歳の女性を死亡させたとして、業務上過失致死の罪で起訴されていました。
1審の長野地方裁判所松本支部では、罰金20万円の有罪判決を言い渡され、2審で被告側は改めて無罪を主張していました。
28日の2審の判決で、東京高等裁判所の大熊一之裁判長は「1審は被害者に対するドーナツによる窒息の危険性を具体的に検討すべきだったのにそれを見過ごしている」と指摘し、1審判決を取り消しました。
また、施設での食品の提供について「おやつなどの間食を含めて食事は人の健康や身体活動を維持するためだけでなく、精神的な満足感や安らぎを得るために重要だ。身体的なリスクに応じて幅広くさまざまな食べ物を取ることは、人にとって必要だ」と指摘しました。
そのうえで「おやつの形状が変更されていたことは准看護師の通常業務の中では容易に知ることができなかった。ドーナツで窒息する危険性や、死亡するとあらかじめ予測できる可能性は低く、ドーナツを提供したことが刑法上の注意義務に反するとは言えない」として無罪を言い渡しました。
今回の裁判は准看護師が有罪とされると、介護の現場が萎縮しかねないとして、無罪を求める27万人余りの署名が東京高裁に提出されるなど、医療や福祉に携わる全国の関係者の注目を集めていました。