防犯カメラの映像には女性が男に蹴り倒されたあと、頭などを何度も踏みつけられる様子が捉えられています。
ABCテレビによりますと、女性は男から「お前はここにいるべきではない」などと、ことばをかけられたということです。
ニューヨーク市警に去年8月に設置された、アジア系への差別を取り締まる対策チームによりますと31日、38歳の男が憎悪に基づく暴行の疑いで訴追されたということです。
また、この事件では現場の通りに面した建物の中にいた複数の男性が、暴行が目の前で行われていたにもかかわらず女性を助けず、さらに、このうちの1人が扉を閉めて無視する様子も映されていて、男性たちの対応にも批判が集まっています。
アジア系をねらった事件をめぐっては、今月16日に南部ジョージア州で21歳の男が、銃を発砲してアジア系の住民6人を含む8人が死亡しました。
犯行の動機は明らかになっていませんが、事件を受けて、バイデン大統領はハリス副大統領と共にジョージア州を訪れ、演説で事件が相次いでいることを非難するとともに差別や偏見の解消を訴えました。
アジア系に対する差別を監視している団体によりますと、アメリカ全体で先月までの(2月)およそ1年間に、差別や暴行の被害を受けたという報告は3795件にのぼるということです。
また、カリフォルニア州立大学サンバーナーディーノ校の「憎悪・過激主義研究センター」によりますと、全米の主要都市を対象に行った調査では、アジア系が被害者となったヘイトクライムとみられる事件はおととしが49件だったのに対し、去年は122件とおよそ2.5倍に増えているということです。
都市別ではニューヨークで9倍余り、東部ペンシルベニア州のフィラデルフィアと中西部オハイオ州のクリーブランドで3倍、ロサンゼルスで2倍余りとなっていて、こうした傾向はことしに入ってからも変わらないということです。