交番こうばんで上司じょうし射殺しゃさつ 19歳さい元もと巡査じゅんさに懲役ちょうえき22年ねん「空前くうぜん絶後ぜつごの事件じけん」

裁判さいばん員いん裁判さいばんで、検察けんさつが懲役ちょうえき25年ねんを求刑きゅうけいしたのに対にたいし、弁護べんご側がわは犯行はんこう当時とうじは十分じゅうぶんな責任せきにん能力のうりょくがなかったと主張しゅちょうし、刑けいを軽かるくするよう求もとめていました。

８はち日にちの判決はんけつで、大津おおつ地方ちほう裁判所さいばんしょの伊藤いとう寛樹ひろき裁判さいばん長ちょうは、元もと巡査じゅんさが犯行はんこう後ごに交番こうばんを訪おとずれた市民しみんと会話かいわしていたことなどを理由りゆうに、責任せきにん能力のうりょくはあったと判断はんだんしました。

そのうえで「19歳さいとはいえ、現職げんしょくの警察官けいさつかんが上司じょうしから厳きびしく叱責しっせきされ、なじられたことをきっかけに、拳銃けんじゅうを使つかって感情かんじょうを爆発ばくはつさせた空前くうぜん絶後ぜつごの重大じゅうだいな事件じけんだ」と指摘してきして、懲役ちょうえき22年ねんを言い渡いいわたしました。

判決はんけつの中なかで、伊藤いとう裁判さいばん長ちょうは「井本いもとさんには熱意ねついがあったが、元もと巡査じゅんさには伝つたわらず、かみ合かみあわないまま事件じけんが起おきた。組織そしきとしての指導しどうの在り方ありかたが検討けんとうされるべきだ」と述のべ、警察けいさつに人材じんざい育成いくせいや指導しどう方法ほうほうの見直みなおしを促うながしました。

元もと巡査じゅんさの様子ようすは

元もと巡査じゅんさは証言しょうげん台だいの席せきに座すわると、落ち着おちついた様子ようすで前まえを見据みすえ、読み上よみあげられた判決はんけつに耳みみを傾かたむけていました。

伊藤いとう寛樹ひろき裁判さいばん長ちょうは言い渡いいわたしを終おえると、元もと巡査じゅんさに対にたいし「国民こくみんが警察官けいさつかんに信託しんたくを与あたえているのは、このような事件じけんを起おこすためではない。責任せきにんの重大じゅうだいさを受け止うけとめ、被害ひがい者しゃの分ぶんまで生いきる気持きもちで、社会しゃかいへの還元かんげんを果はたすよう求もとめます」と諭さとしました。

元もと巡査じゅんさは最後さいごに裁判さいばん長ちょうに向むかって一礼いちれいし、被害ひがい者しゃ参加さんか制度せいどを利用りようして法廷ほうていの中なかにいた井本いもとさんの妻つまに向むかって、深ふかく頭あたまを下さげました。

滋賀しが県警けんけい「改あらためておわび」

判決はんけつのあと、滋賀しが県けん警察けいさつ本部ほんぶの鎌田かまた徹郎てつお本部ほんぶ長ちょうは「被害ひがい者しゃ、ご遺族いぞくはもとより、県民けんみんの皆様みなさまに改あらためておわび申し上もうしあげる。県警けんけいとしては引き続ひきつづき、県民けんみんの期待きたいと信頼しんらいに応こたえられる規律きりつ高たかい組織そしきづくりに取り組とりくんでいく」とするコメントを出だしました。

また、判決はんけつの中なかで、警察けいさつ組織そしきの指導しどうの在り方ありかたを検討けんとうするべきだと指摘してきされたことについて、滝口たきぐち一也かずや首席しゅせき監察かんさつ官かんは「判決はんけつの詳細しょうさいな内容ないようを把握はあくしておらず、コメントする立場たちばにないが、これからも引き続ひきつづき指導しどうを徹底てっていしていくことに変かわりない」と話はなしました。

井本いもとさんの妻つま「悲かなしみは消きえない」

８はち日にちの判決はんけつを受うけて、事件じけんで亡なくなった井本いもと光ひかりさん（41）の妻つまの美絵みえさんはコメントを発表はっぴょうしました。この中なかで美絵みえさんは、「本日ほんじつ、被告ひこくに懲役ちょうえき22年ねんの判決はんけつが下くだされました。裁判所さいばんしょには私わたしの思おもいをくみ取くみとっていただけたのではないかと思おもいます。しかし、被告ひこくにどのような判決はんけつが下くだされたとしても、私わたしたち家族かぞくのもとに大切たいせつな夫おっとが帰かえってくることはなく、この先さきも悲かなしみや苦くるしみが消きえることはないと思おもいます。今いまは静しずかな日常にちじょうに戻もどることを願ねがっております」と今いまの心境しんきょうをつづっています。

県警けんけいの再発さいはつ防止ぼうし策さく

今回こんかいの事件じけんを受うけて、滋賀しが県けん警察けいさつ本部ほんぶは若手わかて警察官けいさつかんの心こころのケアを念頭ねんとうに置おいた再発さいはつ防止ぼうし策さくを公表こうひょうしました。

まず、警察けいさつ学校がっこうでは仕事しごとに対にたいする誇ほこりや使命しめい感かんを持もってもらうため、学校がっこう長ちょうや首席しゅせき監察かんさつ官かんによる現場げんば経験けいけんを踏ふまえた指導しどうを新あらたに始はじめたということです。

また、警察けいさつ学校がっこうを出でて、各かく警察けいさつ署しょに配属はいぞくされた採用さいよう２に年ねん未満みまんの若手わかてへの指導しどうや助言じょげんは、１いち対たい１いちではなく複数ふくすうでチームになってあたることにしました。指導しどうにあたる警察官けいさつかんに対にたいしても新あらたに、臨床りんしょう心理しんり士しによる育成いくせい方法ほうほうについての講義こうぎが追加ついかされました。

さらに、若手わかてを対象たいしょうにした臨床りんしょう心理しんり士しによる面談めんだんを行おこない、職場しょくばでストレスや悩なやみを抱かかえていないか、今月こんげつ末まつまでに確認かくにんし、必要ひつように応おうじてケアを行おこなうとしています。

また、来年度らいねんどは臨床りんしょう心理しんり士しを新あらたに２に人にん採用さいようして、若手わかてのカウンセリングを充実じゅうじつさせるとしています。

このほか、採用さいよう５ご年ねん未満みまんの若手わかてが、自由じゆうに投稿とうこうや閲覧えつらんができるインターネット上じょうの掲示板けいじばんを新あらたに開設かいせつし、若手わかてどうしで悩なやみごとを共有きょうゆうできるようにしたということです。

県警けんけい察さっ本部ほんぶの滝口たきぐち一也かずや首席しゅせき監察かんさつ官かんは「今回こんかいの事件じけんは極きわめて特異とくいなものと認識にんしきしているが、捜査そうさや調査ちょうさを尽つくした結果けっか、再発さいはつ防止ぼうし策さくを考かんがえた」としていて、今後こんごは改善かいぜん点てんを探さぐりながら検証けんしょうを重かさねていくということです。