天皇皇后両陛下の
承諾を
得て
描かれた
初めての
肖像画が、
来年の
天皇陛下の
退位を
前にこのほど
完成し、
宮内庁が
21日にも
公表することになりました。
この肖像画は、
日本の
写実絵画の
第一人者で、
広島市立大学名誉教授の
野田弘志さん(
81)が
制作した
油絵で、ことし
1月に
完成し、
3月に
皇居に
収められました。
縦横2メートルの正方形のキャンバスに、向かって左に天皇陛下、右に半歩下がった皇后さまが並んで立たれている様子が描かれています。
野田さんは、両陛下が皇太子夫妻の頃から、たびたびお住まいに招かれるなど交流があり、8年前の平成22年に肖像画の話が出たあと、平成26年に皇居・宮殿で撮影された両陛下の写真を元に、北海道のアトリエで制作が進められました。
野田さんは、両陛下の人柄や交流した時の様子を思い浮かべながら、細部にこだわって制作に取り組んできたということです。
両陛下の肌や服装、それに背景の壁の質感まで丁寧に描かれていて、写真よりも立体的でお二人の存在感があらわれるよう工夫されています。
両陛下の承諾を得て肖像画が制作されるのは、初めてのことで、両陛下は野田さんに対し、「肖像画ができてとてもうれしい」と話されているということです。宮内庁は、この肖像画を21日にも公表することにしています。
野田さんは「画家として、これ以上光栄なことはありません。両陛下という存在をどのように表現するのか悩みましたが、自分なりに精いっぱい描きました」と話しています。
制作は日本の写実絵画の第一人者
野田弘志さんは、広島県出身の81歳。
東京芸術大学で油絵を学び、在学中、優れた写実的な絵画に贈られる「白日賞」を受賞して注目を浴びました。
昭和58年からおよそ2年にわたって新聞小説の挿絵を担当し卓越した描写力が高く評価され、その後も、日本の写実絵画の第一人者として数多くの作品を発表し、優れた洋画に贈られる「東郷青児美術館大賞」や「宮本三郎記念賞」など数々の賞を受賞しました。
現在、広島市立大学芸術学部の名誉教授で、北海道壮瞥町のアトリエで制作に励んでいます。
近年は「崇高なるもの」という肖像画のシリーズを制作し、ノーベル化学賞を受賞した野依良治さんや、詩人の谷川俊太郎さんなどを描いてきました。
両陛下とは、皇后さまと共通の知人がいたことで皇太子夫妻の頃から親交があり、以前、皇后さまが訪ねられた展覧会で野田さんが自分の作品を説明したこともあったということです。