小泉こいずみ農相のうしょう コメの作柄さくがら示しめす “作況さっきょう指数しすう公表こうひょうを廃止はいし”

この中なかで小泉こいずみ大臣だいじんは、「毎年まいとしのコメの出来でき・不ふ出来できを示しめす指標しひょうとして、およそ70年ねん前まえから毎年まいとし秋あきに実施じっししてきた作況さっきょう指数しすうの公表こうひょうを廃止はいしすることにした。

その上うえで見直みなおしの方向ほうこう性せいとして、「気象きしょうデータおよび人工じんこう衛星えいせいデータの活用かつようの模索もさくをしていく。

「作況さっきょう指数しすう」とは？ “実感じっかんと異ことなる”という声こえも

コメの収穫しゅうかく量りょうについて農林水産省のうりんすいさんしょうは、毎年まいとし無む作為さくいに抽出ちゅうしゅつした全国ぜんこくおよそ8000の水田すいでんのサンプル調査ちょうさから、導き出みちびきだしています。

実際じっさいに稲いねを刈り取かりとり、ふるいにかけるなどして、主食しゅしょく用ようとして供給きょうきゅうされる可能かのう性せいのある玄米げんまいの総量そうりょうを調しらべた上うえで、その年としのコメの10アールあたりの平均へいきん収穫しゅうかく量りょうを把握はあくしています。

都道とどう府県ふけんごとに10アールあたりの平均へいきんの収穫しゅうかく量りょうを把握はあくし、平年へいねんと比較ひかくして指数しすう化かしたものが「作況さっきょう指数しすう」で、その年としのコメの作柄さくがらを示しめす指標しひょうとして使つかわれています。

平年へいねんを100とした指数しすうで、

▽「不良ふりょう」が94以下いか

▽「やや不良ふりょう」が95から98

▽「平年へいねん並なみ」が99から101

▽「やや良りょう」が102から105

▽「良りょう」が106以上いじょう

となっています。

令りょう和わ6年産ねんさんのコメについて農林水産省のうりんすいさんしょうは、全国ぜんこくの作況さっきょう指数しすうは101で「平年へいねん並なみ」と発表はっぴょうしていました。

一方いっぽう、全国ぜんこくのコメの収穫しゅうかく量りょうは、全国ぜんこくの10アールあたりの平均へいきん収穫しゅうかく量りょうに全国ぜんこくの作付さくづけ面積めんせきをかけて算出さんしゅつしていて、去年きょねんの主食しゅしょく用ようの収穫しゅうかく量りょうは、前年ぜんねんより18万まんトンあまり多おおい679万まんトンとしていました。

しかし一部いちぶの農家のうかや卸売おろしうり業者ぎょうしゃなどから「実感じっかんとは異ことなっていて、実際じっさいにはそれほど収穫しゅうかく量りょうは多おおくなく、コメの供給きょうきゅう量りょう不足ふそくが価格かかく高騰こうとうにつながっているのではないか」といった声こえも上あがっていました。

小泉こいずみ大臣だいじんは15日にち、福島ふくしま県けんでコメの生産せいさん者しゃなどと意見いけん交換こうかんをしたあと、記者きしゃ団だんに対にたいし、「農家のうかが農林水産省のうりんすいさんしょうが出だしているデータと実感じっかんが違ちがうとはっきり話はなしをしたことを、正面しょうめんから受け止うけとめなければならない」などと述のべ、16日にちにも、作況さっきょう指数しすうなどの見直みなおしの方向ほうこう性せいを示しめす考かんがえを明あきらかにしていました。

コメの卸売おろしうり会社かいしゃ “取引とりひき価格かかくが急激きゅうげきに下さがっている”

コメの卸売おろしうり会社かいしゃの担当たんとう者しゃは、随意ずいい契約けいやくの備蓄びちく米まいが放出ほうしゅつされたあと、取引とりひき価格かかくが急激きゅうげきに下さがっていることを実感じっかんしています。

福岡ふくおか県けん広川ひろがわ町まちにある「カネガエ」の米穀べいこく部門ぶもん長ちょう、森島もりしま一いち紗しゃさん（44）は、「コメの取引とりひき価格かかくは5月つきぐらいがピークで、随意ずいい契約けいやくの備蓄びちく米まいが出でてからは毎日まいにちのように下さがっている」と話はなします。

森島もりしまさんによりますと、卸売おろしうり会社かいしゃどうしで比較的ひかくてき少量しょうりょうのコメを融通ゆうずうし合あう「スポット取引とりひき」の価格かかくは、関東かんとうでとれた令りょう和わ6年産ねんさんのコシヒカリ60キロあたりで先月せんげつが4万まん8000円えんから9000円えんだったのに対にたいし、最近さいきんは3万まん5000円えん台だいにまで下落げらくしているということです。

随意ずいい契約けいやくの備蓄びちく米まいの放出ほうしゅつを受うけ、令りょう和わ6年産ねんさんのコメが余あまるとみた卸売おろしうり会社かいしゃが「今いまのうちに売うっておこう」と判断はんだんしていると言いいます。

こうした中なか、森島もりしまさんの会社かいしゃでは、コメの取引とりひき価格かかくが今後こんごさらに下さがる可能かのう性せいがあるとして、スポット取引とりひきでの購入こうにゅうを見合みあわせるようになりました。

卸売おろしうり各社かくしゃがことしの新米しんまいの価格かかくを注視ちゅうししているということで、「7月つきの終おわりには宮崎みやざき県けん産さんのコシヒカリが出で始はじめるが、みなさん、古米こまいより新米しんまいのほうが安やすくなる“逆転ぎゃくてん”を気きにしている。

森島もりしまさんによりますと、随意ずいい契約けいやくの備蓄びちく米まいを扱あつかっていない小売こうり店てんからは今いまも銘柄めいがら米まいの注文ちゅうもんが寄よせられていて、需要じゅようは引き続ひきつづき強つよいということです。

このため、コメ5キロの小売こうり価格かかくは、仕入れ値しいれねの高たかい令りょう和わ6年産ねんさんが4000円えん台だい、競争きょうそう入札にゅうさつの備蓄びちく米まいが3500円えん前後ぜんご、それに随意ずいい契約けいやくの備蓄びちく米まいが2000円えん程度ていどの3つに分わかれているということです。

森島もりしまさんは「ここ1、2週間しゅうかんで状況じょうきょうががらっと変かわった。

入札にゅうさつで売り渡うりわたされた備蓄びちく米まい 値下ねさげして販売はんばい

随意ずいい契約けいやくの備蓄びちく米まいの流通りゅうつうが進すすむ中なか、埼玉さいたま県内けんないにあるJAの直売ちょくばい所しょでは、競争きょうそう入札にゅうさつで売り渡うりわたされた備蓄びちく米まいを、今月こんげつ上旬じょうじゅんから値下ねさげして販売はんばいしています。

東ひがし松山まつやま市しにあるJA埼玉さいたま中央ちゅうおうの直売ちょくばい所しょでは、競争きょうそう入札にゅうさつで売り渡うりわたされた備蓄びちく米まいを4月つきから5キロあたり税込ぜいこみ3600円えんで販売はんばいしてきましたが、今月こんげつ4日にちから200円えん値下ねさげし、5キロあたり税込ぜいこみ3400円えんで販売はんばいしています。

周辺しゅうへんの小売こうり店てんで銘柄めいがら米まいなどを値下ねさげする動うごきが見みられたことや、価格かかくが安やすい随意ずいい契約けいやくの備蓄びちく米まいの流通りゅうつうが各地かくちで進すすんでいることを踏ふまえ、値下ねさげを決きめたということです。

また競争きょうそう入札にゅうさつで売り渡うりわたされた備蓄びちく米まいの入荷にゅうか量りょうが増ふえていることから、今月こんげつ4日にちからこれまで1家族かぞくあたり10キロとしていた購入こうにゅう制限せいげんも、なくしたということです。

今後こんごについては周辺しゅうへんの小売こうり店てんなどの状況じょうきょうに応おうじて販売はんばいの際さいの価格かかくや制限せいげんをどうするか、対応たいおうを検討けんとうしていきたいとしています。

備蓄びちく米まいを2袋ふくろ購入こうにゅうした30代だいの男性だんせいは「子こどもが3人にんいるので、値下ねさげはすごく助たすかります。

東ひがし松山まつやま農産物のうさんぶつ直売ちょくばい所しょの坂本さかもと勝行かつゆき所長しょちょうは「随意ずいい契約けいやくの備蓄びちく米まいの話はなしが出でて以降いこう、客足きゃくあしが少すこし鈍にぶくなった。

中小ちゅうしょうスーパー 売り上うりあげが落ち込おちこむところも

備蓄びちく米まいを仕入しいれることができず、銘柄めいがら米まいとブレンド米ぶれんどまいだけを販売はんばいしている中小ちゅうしょうスーパーの中なかには、コメの売り上うりあげが落ち込おちこんでいるところもあります。

横浜よこはま市しにあるスーパーでは、随意ずいい契約けいやくによる備蓄びちく米まいの購入こうにゅうを検討けんとうしていましたが、年間ねんかんの取り扱とりあつかい量りょうが政府せいふの申請しんせい条件じょうけんを満みたしておらず、申請しんせいを断念だんねんしたということです。

また仕入しいれ先さきの問屋とんやからは、競争きょうそう入札にゅうさつによる備蓄びちく米まいも手てに入はいらないと伝つたえられています。

このため、現在げんざい店頭てんとうで販売はんばいしているのは、銘柄めいがら米まいとさまざまな品種ひんしゅや産地さんちを混まぜたブレンド米ぶれんどまいだけで、価格かかくはすべて5キロあたり税込ぜいこみ5000円えんを超こえているということです。

こうした中なか、今月こんげつに入はいってから16日にちまでのコメの売り上うりあげは、先月せんげつの同どう期間きかんに比くらべて、およそ15％減へっているということです。

ただこれらのコメは高たかい価格かかくで仕入しいれているため、店頭てんとう価格かかくを引き下ひきさげることは難むずかしく、現在げんざいは在庫ざいこが増ふえすぎないよう、精米せいまいから一定いっていの期間きかんが過すぎた商品しょうひんに限かぎって割り引わりびきして販売はんばいしているということです。

コメを買かいに訪おとずれた客きゃくは「やはり高たかくて手てが出でない。

「スーパーセルシオ和田わだ町まち店てん」で食品しょくひんバイヤーを務つとめる久保田くぼた浩二こうじさんは、「このところコメが売れ残うれのこる状況じょうきょうが出でてきていて、利益りえきを失うしなってでも販売はんばいせざるをえない状況じょうきょうを迎むかえています。