討論会について複数の専門家は世論調査の支持率でバイデン氏が先行する情勢を大きく変えるものではなかったなどと評価しています。
このうち、大統領選挙に詳しいジョージ・ワシントン大学のノードリンガー教授はNHKのインタビューに対し「今後の焦点は、激戦州で、まだ投票先を決めていないごくわずかの有権者の動向だ」と指摘しました。
討論会から一夜明けた23日、トランプ大統領は激戦州のフロリダ州で演説を行い「昨夜は『ねぼけたジョー』と楽しい討論だった。11日後の選挙でフロリダ州で勝利し、再選を果たす」と述べ、意欲を示しました。
トランプ大統領は24日以降も連日、激戦州を中心に各地で集会を開き、巻き返しに向け支持を訴えることにしています。
一方、バイデン氏は、23日、自身の地元デラウェア州で新型コロナウイルス対策について演説し、「国民を守るために仕事をする大統領が必要だ」と述べ、政権交代の実現を訴えました。
また、24日には根強い人気があるオバマ前大統領やサンダース上院議員がそれぞれ激戦州で演説し、盛り上がりに欠けるとも指摘される運動に勢いをつけ、支持を固めようとしています。
大統領選挙まで10日余りとなり選挙戦が最終盤に入るなか、両陣営ともに運動を加速させています。
全米世論調査はバイデン氏リード
アメリカの政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」によりますと、全米を対象にした世論調査の支持率の平均値は、23日時点で、
▽バイデン氏が50.7%、
▽トランプ大統領が42.8%と、
バイデン氏が7.9ポイントリードしています。
米専門家「両候補とも前回よりずっとうまくふるまった」
アメリカ大統領選挙のテレビ討論会について、大統領選挙に詳しいジョージ・ワシントン大学のゲーリー・ノードリンガー教授は「両候補とも前回よりずっとうまくふるまい、間違いも犯さなかった。トランプ大統領は、バイデン氏の次男のウクライナ企業との取り引きを取り上げたのに対しバイデン氏はトランプ大統領が税金を適切に納めていないと攻め、有権者の期待に応えた」と述べ両候補とも自分に投票を検討している有権者にアピールできたと評価しました。
そのうえで今後の選挙戦について、ノードリンガー教授は「トランプ大統領の支持者には今まで見たことがないような熱意があるので、トランプ大統領が勝っても4年前ほどの驚きではない。大統領を支持する有権者は、世論調査では支持していると認めない傾向があるので、『投票先を決めていない』と答えた人なら、トランプ大統領に投票する可能性が大いにある。トランプ大統領が勝つ可能性はまだある」と述べ、世論調査の支持率でリードされるトランプ大統領が巻き返す可能性はあると指摘しました。
その一方で、バイデン氏については、「討論会で明確に答えなかったり、うろたえているように見えたりしたこともあり、高齢過ぎるという印象が強まったかもしれない。バイデン氏は有権者の熱意を高めるよう努め、投票を呼びかけていくことになるだろう」と指摘しました。
そして、「焦点は、激戦州で、まだ投票先を決めていないごくわずかの有権者だ。バイデン氏はペンシルベニア州やノースカロライナ州、フロリダ州で大幅なリードがあるわけではない」と指摘し、まだ投票先を決めていない人たちの票の行方が勝敗を左右するという考えを示しました。