これを受けて、パイオニアの株式の上場は廃止されることになり、東京証券取引所で最後の取り引きが行われました。
終値は25日と同じ65円でした。
パイオニアは、昭和13年に創業して以来、レーザーディスクや大型プラズマテレビなどを世に送り出しましたが、激しい価格競争やデジタル化などの影響で販売不振が続き、4年前に家庭用のオーディオから撤退しました。
その後は、カーナビゲーション事業に注力してきたものの、業績は回復しませんでした。
今後はファンドの傘下で、国内外の従業員のうち、およそ15%にあたる3000人規模を削減するほか、成長が見込まれる自動運転に使われるセンサーの開発を強化することにしています。
国内オーディオメーカー 衰退の歴史
国内のオーディオメーカーは高い技術力を背景に1970年代から世界を席けんしました。
中でも「パイオニア」、「山水電気」、それに「ケンウッド」は80年代には「御三家」と称されていました。
ところが、その後、激しい価格競争に加えて小型の音楽再生プレーヤーやスマートフォンの登場によるデジタル化の波にのまれ国内のオーディオメーカーの業績は低迷します。
御三家のうち、パイオニアは4年前に主力の家庭用オーディオ事業を「オンキヨー」に売却。カーナビゲーション事業などに集中してきましたが、ことし1月には香港のファンドの傘下に入り、経営再建を目指すことを決めました。
「山水電気」は平成26年に破産。
「ケンウッド」は平成20年に「日本ビクター」と経営統合し、現在は、「JVCケンウッド」として、カーナビ事業を収益の柱にしています。
一方、最近では、デジタル世代の中でも音にこだわるユーザーをねらって、一時は途絶えたブランドを復活させる動きも出てきています。
国内で初めてラジカセを発売した「アイワ」は、ソニーに吸収合併されたのち、11年前には生産を終えていましたが、秋田県に本社を置く「十和田オーディオ」が商標を取得し、平成29年にブランドを復活させました。
「パナソニック」は平成26年、高級オーディオブランド「テクニクス」を復活させ、「JVCケンウッド」も、平成29年にかつての「ビクター」のブランドを復活させました。
各ブランドともCDをはるかに超える情報量を収録できる「ハイレゾ」など、価格は安くはないものの高い音質に対応する製品をラインナップしユーザーの心をつかむことを目指しています。