菅官房長官、岸田政務調査会長、石破元幹事長の3人の陣営は、それぞれ選挙対策本部の会合を開くなどして、支持の呼びかけを続けるとともに、立候補に向けた詰めの準備を行いました。
菅官房長官
菅官房長官は、8日午後、東京 新宿区の都議会を訪れ、自民党の都議会議員の会合に出席しました。
この中で、菅氏は「安倍総理大臣が道半ばで退かれることになり、何をなすべきか熟慮に熟慮を重ね、私自身がその陣頭指揮をやらせていただきたいと決断した」と立候補の決意を示しました。
そのうえで、「市議会議員のときは市議会議員として、その後、国会議員として、地元の声を国に反映させてきたが、その初心を忘れずに頑張りたい。東京都連の皆さんの大きな力を賜るようお願いしたい」と述べ、支援を呼びかけました。
これに対し、都議会議員側は、新型コロナウイルス対策や東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けて取り組んでもらいたいと要望を伝えました。
菅官房長官を支持する細田派、麻生派、竹下派、二階派、石原派の5つの派閥と菅氏に近い無派閥の議員で作る陣営は、8日午後、東京都内のホテルで選挙対策本部の会合を開きました。
出席者によりますと、会合の冒頭には菅氏も出席し、「何も準備がないところからスタートするので、迷惑をかけるが、よろしくお願いします」とあいさつしたということです。
会合では、菅氏が公務のため地方を訪問できないことを踏まえ、オンラインも活用して、各地の地方議員に支持を呼びかけていくことを確認しました。
菅官房長官は午後の記者会見で、政治主導の在り方について、「官房長官としての経験では、官僚は優秀なので、政治が方向性と目標を示し、責任を政治家が取る中で、みんながよい解決策を考えてくれるという役割分担、信頼関係が大事だ」と述べました。
また、第2次安倍政権で発足した、中央省庁の幹部職員の人事を一元的に管理する「内閣人事局」について、記者団が、成果と改善点を質問したのに対し、「縦割り行政の弊害を排除して、戦略的な人事配置を実現するための仕組みだ。重要政策課題で確実に成果を挙げていく観点から、霞が関全体として最適な人事配置の実現に取り組んできた」と強調しました。
そして「幹部職員の任命権が各省の大臣にあることを前提に、プロセス全体を通じて、複数の視点によるチェックが行われている。公正中立に能力第一主義に基づく最適な人事を行っており、今後とも内閣全体で適材適所の人事に努めたい」と述べました。
一方、選挙期間中の公務について、「災害対応をはじめ必要な公務は引き続き行いたい。午前、午後の記者会見をはじめ、公務をしっかり優先し、対応したい」と述べました。
記者団が権力との向き合い方について考えをただしたのに対し、「7年8か月にわたって安倍総理大臣を支え続けた身として、政権を担う責任の重さに耐え続けるのは大変なことだ」と述べました。
秋田県出身などのみずからの経歴が浸透してきたのではないかという質問に対しては、「これまで機会があるごとに、秋田県出身で、地縁血縁のないところから政治活動を開始したと説明してきた。多くの方にご理解をいただけるのはありがたい」と述べました。
さらに記者団が、著書が入手困難となり、インターネット上で高値がついていると指摘したのに対し、「野党時代に執筆した著作がそんなに高くなっているとは承知していない」と述べました。
岸田政調会長
岸田政務調査会長は、報道各社のインタビューに応じ、成長戦略の一環として、データの活用やデジタル化などを推進するため、政府内に新たな司令塔組織を設けるべきだという認識を示しました。
この中で、岸田氏は「新たな成長のエンジンとして、ビッグデータや5Gといった最新技術を社会に実装していくことが大事だ。データは21世紀の石油とも呼ばれ、日本でもルールを作り、世界と融和しなければならない」と指摘しました。
そのうえで、「省庁や自治体のシステムも共通性が乏しく、デジタル化が進んでいない。データとデジタル化の2つの分野で強力な権限を持つ組織が必要だ」と述べ、政府内に新たな司令塔組織を設けるべきだという認識を示しました。
また、岸田氏は、来年に延期された東京オリンピック・パラリンピックの開催について、「まだ新型コロナウイルスのワクチンができておらず、世界の感染状況を見ても、完全な形での実施はなかなか難しいのではないか。感染症対策や海外との人の行き来などで最大限の工夫を行い、開催にこぎ着けることが大事だ」と述べました。
岸田政務調査会長は、8日午後、党本部で、台風10号による被害の状況などについて関係省庁から説明を受けました。
そして、岸田氏は「警戒を緩めず、実態把握をしっかり行ってもらいたい。引き続き、政府には緊張感を持って対応してほしい」と要請しました。
このあと、岸田氏は記者団に対し、「防災の重要性は増している。政府の司令塔機能の構築や、国と地方の連携、さらに自治体間の連携など、さまざまな体制についても検討していかなければならない」と述べました。
岸田政務調査会長の陣営は、8日午後、選挙対策本部を発足させ、国会内で初会合を開きました。
本部長には、谷垣グループの遠藤元オリンピック・パラリンピック担当大臣が就任し、「日本を背負って世界に発信できるのは岸田文雄しかいない。ポスト小泉を争う14年前の総裁選挙に谷垣禎一氏が立候補した際には、皆が必死な思いで戦い、予想を上回る票を得たこともある。気概がなければ、この戦いは勝てず、力を合わせて頑張ってほしい」と述べました。
岸田氏本人は台風10号の対応のため欠席しましたが、「公正で優しく、芯の通った政治を実現するため、なんとしても勝利したい」としたメッセージを寄せました。
そして、会合では、国会議員や党員への働きかけをさらに強めていくことを確認しました。
石破元幹事長
石破元幹事長は、8日午後、みずからの陣営の選挙対策本部の会合に出席し、全国の地方議員や党員に対する支持呼びかけの状況について報告を受けました。
このあと石破氏は、記者団に対し、「各地には、直接会って話をしたり、選挙の応援に行ったりするなど、とおりいっぺんの関係でない人も多く、『いい感じだ』という報告があった。選挙はふたを開けてみないとわからないので、愚直に誠心誠意やっていきたい」と述べました。
石破氏は、このあと議員会館の事務所に戻り、新聞社のインタビューやテレビ番組への出演を通じて政策などを訴えました。