輸入ゆにゅう車しゃの関税かんぜいが焦点しょうてん きょう米べいＥＵい-ゆ-首脳しゅのう会談かいだん

こうした中なか、ＥＵい-ゆ-の執行しっこう機関きかんに当にあたるヨーロッパ委員いいん会かいのトップ、ユンケル委員いいん長ちょうが25日にち、ワシントンを訪おとずれ、トランプ大統領だいとうりょうと会談かいだんします。

トランプ政権せいけんは、輸入ゆにゅう車しゃや自動車じどうしゃ部品ぶひんへの関税かんぜいの上乗うわのせを検討けんとうしていて、特とくにＥＵい-ゆ-側がわが自動車じどうしゃにかけている関税かんぜいが10％で、アメリカの2.5％より高たかく、不公平ふこうへいだと主張しゅちょうしています。

これに対にたいしＥＵい-ゆ-は、さらなる報復ほうふく関税かんぜいを用意よういしているとけん制けんせいする一方いっぽう、自動車じどうしゃの最大さいだいの輸出ゆしゅつ先さきでもあるアメリカとの関係かんけいがこれ以上いじょう冷え込ひえこむのを避さけようと、ＥＵい-ゆ-側がわの関税かんぜいの引き下ひきさげも検討けんとうしています。

ＥＵい-ゆ-は、この関税かんぜいを引き下ひきさげるのに必要ひつようなほかの貿易ぼうえき相手あいて国こくとの協議きょうぎも準備じゅんびしていて、今回こんかいの会談かいだんで焦点しょうてんとなりそうです。

トランプ政権せいけんは、今月こんげつ中ちゅうにも関税かんぜい上乗うわのせについての調査ちょうさを終おえる見通みとおしで、仮かりに関税かんぜい上乗うわのせに踏み切ふみきれば日本にっぽんの自動車じどうしゃ産業さんぎょうにとっても大おおきな打撃だげきとなるだけに、会談かいだんの行方ゆくえが注目ちゅうもくされています。

輸入ゆにゅう車しゃへの関税かんぜいはＥＵい-ゆ-が最大さいだいの標的ひょうてきか

アメリカのトランプ大統領だいとうりょうが検討けんとうしている、輸入ゆにゅう車しゃや部品ぶひんへの関税かんぜい上乗うわのせは、ＥＵい-ゆ-＝ヨーロッパ連合れんごうを最大さいだいの標的ひょうてきにしています。

アメリカ商務省しょうむしょうによりますと、アメリカの自動車じどうしゃの輸入ゆにゅう台数だいすうは去年きょねん1年間ねんかんでは827万まん台だいで、国くに別べつでは、メキシコが最もっとも多おおく244万まん台だい、次ついでカナダが182万まん台だい、日本にっぽんが172万まん台だい、そして、ＥＵい-ゆ-が115万まん台だいとなっています。

ただ、金額きんがくベースで見みると、去年きょねん１いち年間ねんかんでは1917億おくドルで、国くに別べつでは、同おなじくメキシコが最多さいたで469億おくドルですが、２に番目ばんめにはＥＵい-ゆ-が入はいり428億おくドル。これに、カナダの425億おくドル、日本にっぽんの397億おくドルが続つづきます。これはＥＵい-ゆ-が高級こうきゅう車しゃを多おおくアメリカへ輸出ゆしゅつしているためです。

アメリカが抱かかえる貿易ぼうえき赤字あかじでも、ＥＵい-ゆ-は中国ちゅうごくに次つぐ規模きぼとなっていて、去年きょねん１いち年間ねんかんのモノの取り引とりひきで中国ちゅうごくは3752億おくドル、ＥＵい-ゆ-が1514億おくドル、メキシコが710億おくドル、日本にっぽんが688億おくドルです。

トランプ大統領だいとうりょうは23日にち、「水曜日すいようびにＥＵい-ゆ-の首脳しゅのうが私わたしに会あいに来くる。もしうまく解決かいけつできなければ、ＥＵい-ゆ-から輸入ゆにゅうされる自動車じどうしゃに何なんらかの措置そちを取とらなければならない」と述のべ、輸入ゆにゅう車しゃへの関税かんぜい上乗うわのせをちらつかせて、貿易ぼうえき赤字あかじ削減さくげんに向むけてＥＵい-ゆ-に対応たいおうを迫せまっています。

これに対にたいし輸入ゆにゅう車しゃへの関税かんぜいを上乗うわのせするか調査ちょうさするための先週せんしゅうの公聴こうちょう会かいでＥＵい-ゆ-の代表だいひょうは、トランプ政権せいけんが安全あんぜん保障ほしょうへの脅威きょういを理由りゆうに挙あげていることについて「ばかげている」と述のべ、公聴こうちょう会かいに出席しゅっせきした各国かっこくの政府せいふや自動車じどうしゃ団体だんたいの中なかでももっとも厳きびしい口調くちょうでトランプ政権せいけんの対応たいおうを非難ひなんしました。

ＥＵい-ゆ-の自動車じどうしゃ輸出ゆしゅつと関税かんぜいのインパクト

ヨーロッパ自動車じどうしゃ工業こうぎょう会かいのまとめによりますと、ＥＵい-ゆ-に加盟かめいする国くにで去年きょねん、生産せいさんされた乗用車じょうようしゃの台数だいすうは合あわせて1696万まん台だいでした。これは中国ちゅうごくに次つぐ世界せかい第だい２にの規模きぼで、日本にっぽんやアメリカの２に倍ばい以上いじょうに上のぼります。最もっとも多おおく生産せいさんしているのはドイツで、スペイン、フランス、イギリスなどが続つづいています。

ＥＵい-ゆ-は生産せいさんした乗用車じょうようしゃのうちおよそ３さん分ぶんの１いちに当にあたる563万まん台だいを域外いきがいに輸出ゆしゅつしています。このうち115万まん台だいが向むかう最大さいだいの輸出ゆしゅつ先さきがアメリカです。金額きんがくベースでは374億おくユーロ（およそ４よん兆ちょう8600億おく円えん）となり、乗用車じょうようしゃの輸出ゆしゅつ総額そうがくの30％を占しめています。

ドイツにある経済けいざい研究所けんきゅうじょは、アメリカが関税かんぜいを引き上ひきあげた場合ばあいの国くに別べつの影響えいきょうを試算しさんした結果けっか、アメリカの高級こうきゅう車しゃ市場しじょうで高たかいシェアを占しめるドイツの経済けいざいへの打撃だげきが、日本にっぽんを上回うわまわって世界せかいで最もっとも大おおきいとしています。また、ＩＭＦあいえむえふ＝国際こくさい通貨つうか基金ききんは、貿易ぼうえき摩擦まさつによってＥＵい-ゆ-の19か国かこくで作つくるユーロ圏けんのＧＤＰじ-でぃ-ぴ-＝域内いきない総そう生産せいさんが0.3％減少げんしょうすると試算しさんしています。

米べいＥＵい-ゆ-間かんの貿易ぼうえき摩擦まさつの経緯けいい

アメリカとＥＵい-ゆ-の貿易ぼうえきをめぐっては、報復ほうふく措置そちの応酬おうしゅうがさらに激はげしくなることが懸念けねんされる事態じたいとなっています。

発端ほったんはことし３月さんがつ。トランプ政権せいけんが鉄鋼てっこうやアルミ製品せいひんが不当ふとうに安やすく輸入ゆにゅうされているとして日本にっぽんを含ふくむ各国かっこくからの鉄鋼てっこう製品せいひんなどに高たかい関税かんぜいを課かす輸入ゆにゅう制限せいげん措置そちを発動はつどうしたことでした。

このときトランプ政権せいけんは、ＥＵい-ゆ-については発動はつどうの判断はんだんを先送さきおくりし、一時いちじ的てきに対象たいしょうから除外じょがいしました。これに対にたいし、ＥＵい-ゆ-側がわは、恒久こうきゅう的てきに対象たいしょうから除外じょがいするよう強つよく求もとめ、措置そちの対象たいしょうになればアメリカに対にたいする報復ほうふくの関税かんぜいをかける構かまえを見みせました。その一方いっぽうで通商つうしょう政策せいさくを担当たんとうするＥＵい-ゆ-の委員いいんがアメリカを訪おとずれて説得せっとくを試こころみるなど、トランプ政権せいけん側がわに働はたらきかけも続つづけました。

しかし、トランプ政権せいけんは先月せんげつ、ＥＵい-ゆ-を鉄鋼てっこう関税かんぜいの対象たいしょうに追加ついか。このためＥＵい-ゆ-は、同おなじ鉄鋼てっこう製品せいひんに加くわえ、農業のうぎょう製品せいひんを含ふくめ総額そうがく28億おくユーロ（日本にっぽん円えんでおよそ3600億おく円えん）のアメリカからの輸入ゆにゅう品ひんに報復ほうふく関税かんぜいを課かしました。ＥＵい-ゆ-の報復ほうふく関税かんぜいは、ウィスキーのバーボンやハーレー・ダビッドソンなどのオートバイを対象たいしょうにしていて、アメリカ議会ぎかいの与党よとう、共和党きょうわとうの幹部かんぶの地元じもとの産品さんぴんも狙い撃ねらいうちにしています。

これに対にたいして、トランプ政権せいけんは、アメリカに輸入ゆにゅうされる自動車じどうしゃや自動車じどうしゃ部品ぶひんが安全あんぜん保障ほしょう上じょうの脅威きょういになっているとして、関税かんぜいを引き上ひきあげるとＥＵい-ゆ-などをけん制けんせい。特とくに、自動車じどうしゃへの関税かんぜいは、ＥＵい-ゆ-側がわが10％を課かしているのに対にたいし、アメリカ側がわは2.5％で、不公平ふこうへいだと強調きょうちょうしています。

トランプ大統領だいとうりょうは今月こんげつ開ひらかれた、安全あんぜん保障ほしょうを話し合はなしあうＮＡＴＯなと-＝北大ほくだい西洋せいよう条約じょうやく機構きこうの首脳しゅのう会議かいぎの場ばでも貿易ぼうえきの話はなしを持ち出もちだして、ヨーロッパ各国かっこくに不満ふまんをぶつけています。

ＥＵい-ゆ-側がわからは、ドイツのメルケル首相しゅしょうがＥＵい-ゆ-の自動車じどうしゃへの関税かんぜいについて「引き下ひきさげる用意よういがある」と発言はつげんするなど、打開だかい策さくを探さぐる動うごきが出でています。ＥＵい-ゆ-がこの関税かんぜいを引き下ひきさげるには日本にっぽんを含ふくむほかの貿易ぼうえき相手あいて国こくとの協議きょうぎも必要ひつようで、準備じゅんびを進すすめています。

その一方いっぽう、通商つうしょう政策せいさくを担当たんとうするＥＵい-ゆ-の委員いいんは先週せんしゅう、自動車じどうしゃへの関税かんぜい上乗うわのせが発動はつどうされれば、アメリカに対にたいするさらなる報復ほうふく関税かんぜいで対抗たいこうすると明あきらかにするなど、報復ほうふくの応酬おうしゅうがさらに激はげしくなることが懸念けねんされています。