日本大学の
元理事が
付属病院の
高額な
医療機器の
調達をめぐり、
大学の
資金を
流出させたとして
大阪の
医療法人の
前理事長らとともに
東京地検特捜部に
背任の
罪で
追起訴されました。
元理事らが
一連の
事件で
大学に
与えたとされる
損害は
総額で4
億円余りに
上ります。
追起訴されたのは、日本大学の理事だった井ノ口忠男被告(64)と大阪市に本部がある大手医療法人「錦秀会」の前理事長、籔本雅巳被告(61)です。
また東京の医療コンサルタント会社代表の吉田徹也被告(50)も在宅起訴されました。
東京地検特捜部によりますと、元理事らはことし、日本大学医学部附属板橋病院で使用する画像診断装置や電子カルテシステムをあわせて23億円余りで調達した際、籔本前理事長側におよそ2億円を流出させ、大学に損害を与えたとして、背任の罪に問われています。
井ノ口元理事は大学の子会社の「日本大学事業部」の役員として、納入業者の選定などを担当し、吉田代表は元理事とともに機器の選定手続きに関わっていたということです。
井ノ口元理事は同じ病院の建て替え工事を巡る取引でも、大学からおよそ2億円を流出させたとして籔本前理事長とともに起訴されています。
2人が大学に与えたとされる損害の総額は合わせておよそ4億2000万円に上り、関係者によりますと2人は流出させた資金の一部を事実上、還流させるなど、利益を分け合っていた疑いがあるということです。
関係者によりますと特捜部の調べに対し、籔本前理事長は、追起訴された内容を認めているということです。
一方、井ノ口元理事は資金の流れを大筋で認めたうえで、「大学に損害は与えていない」として不正を否定しているということです。
田中理事長の関与は
特捜部は
この事件で、
日大の
田中英壽理事長の
自宅を
関係先として
捜索するとともに
理事長本人からも
複数回、
任意で
事情を
聴いています。
関係者によりますと籔本前理事長は特捜部の調べに対し「理事長の再任祝いなどとして田中理事長側に複数回に渡って現金合わせて6000万円を渡した」と供述しているということです。
井ノ口元理事も籔本前理事長とともに田中理事長側に現金を提供していたことを認め「籔本前理事長が日大の事業を受注した業者からリベートを受け取ったことへのお礼の趣旨もあると思う」などと供述しているということです。
一方で井ノ口元理事は「詳しい資金の流れは理事長には説明していない」などと供述しているということです。
田中理事長は任意の調べに対し、現金を受け取ったこと自体を否定したうえで、事件には関与していないと説明しているということです。
田中理事長はNHKの取材に対し、15日に弁護士を通じて文書で回答し「理事の1人が起訴されたことは誠に遺憾で理事長として事態を重く受け止めている」としたうえで、事件については「捜査が継続している模様なので事実関係の質問は回答を差し控える」としています。