６月ろくがつから導入どうにゅうされる「司法しほう取引とりひき」の運用うんよう方針ほうしんまとまる

「司法しほう取引とりひき」の対象たいしょうとなるのは、汚職おしょくや、談合だんごうなどの企業きぎょう犯罪はんざい、それに薬物やくぶつなどの組織そしき犯罪はんざいですが、運用うんよう方針ほうしんでは対象たいしょう事件じけんの中なかでも、従来じゅうらいの捜査そうさ手法しゅほうでは重要じゅうような証拠しょうこを得えることが困難こんなんで、捜査そうさ協力きょうりょくへの見返みかえりとして容疑ようぎ者しゃなどの処分しょぶんを軽かるくすることに国民こくみんの理解りかいが得えられる事件じけんに限かぎって行おこなうとしています。

また「司法しほう取引とりひき」を行おこなう際さいには、検察官けんさつかんと容疑ようぎ者しゃや被告ひこく、それに弁護士べんごしの３さん者しゃが合意ごういすることが条件じょうけんとなっていますが、交渉こうしょうの順序じゅんじょについては法律ほうりつで定さだめられていません。

これについて運用うんよう方針ほうしんでは、はじめに弁護士べんごしが捜査そうさ協力きょうりょくの内容ないようを検察けんさつ側がわに提示ていじすることが一般いっぱん的てきだとしたうえで、取り調とりしらべの中なかで検察けんさつ側がわから「司法しほう取引とりひき」に言及げんきゅうすると、裁判さいばんで「利益りえき誘導ゆうどうがあった」と主張しゅちょうされる可能かのう性せいがあるとして、行おこなわないよう求もとめています。

最高さいこう検察庁けんさつちょうは「国民こくみんの理解りかいを得えながら時間じかんをかけて制度せいどを定着ていちゃくさせたい」と話はなしています。

「司法しほう取引とりひき」運用うんようの詳細しょうさいは

「司法しほう取引とりひき」は、企業きぎょう犯罪はんざいや組織そしき犯罪はんざいで上層じょうそう部ぶの関与かんよを解明かいめいする新あらたな捜査そうさ手法しゅほうとして期待きたいされる一方いっぽう、うその供述きょうじゅつで無実むじつの人ひとを巻き込まきこみ、えん罪えんざいを生み出うみだすおそれも指摘してきされています。最高さいこう検察庁けんさつちょうは、こうした指摘してきを踏ふまえて今回こんかいの運用うんよう方針ほうしんをまとめました。

「司法しほう取引とりひき」の対象たいしょうとなる事件じけんは、汚職おしょくや脱税だつぜい、談合だんごう、それに振り込ふりこめ詐欺さぎなどの知能ちのう犯罪はんざいと、薬物やくぶつや銃器じゅうきの犯罪はんざいで、検察官けんさつかんと容疑ようぎ者しゃや被告ひこく、それに弁護士べんごしの３さん者しゃが合意ごういすることが条件じょうけんになっていますが、交渉こうしょうの順序じゅんじょなどについては法律ほうりつで定さだめられていません。

これについて運用うんよう方針ほうしんでは、容疑ようぎ者しゃからの申し入もうしいれだけでは取り引とりひきの交渉こうしょうに入はいらず、検察官けんさつかんか弁護べんご士しの申し入もうしいれに基もとづいて交渉こうしょうを始はじめるとしています。

そのうえで、はじめに弁護士べんごしが捜査そうさ協力きょうりょくの内容ないようを検察けんさつ側がわに提示ていじすることが一般いっぱん的てきだとしていて、検察官けんさつかんは、その内容ないようについて弁護士べんごしから可能かのうな範囲はんいで聴きき取とったうえで交渉こうしょうを始はじめるかどうか判断はんだんすべきだとしています。

検察官けんさつかんは、容疑ようぎ者しゃから得えられる共犯きょうはん者しゃについての供述きょうじゅつや証拠しょうこの重要じゅうよう性せいや、共犯きょうはん者しゃの組織そしき内ないでの地位ちいなどを考慮こうりょし、事件じけんによっては起訴きそを見送みおくったり大幅おおはばに軽かるい求刑きゅうけいを行おこなうことも柔軟じゅうなんに検討けんとうするとしています。

一方いっぽうで被害ひがい者しゃがいる事件じけんでは、処罰しょばつ感情かんじょうにも配慮はいりょする必要ひつようがあるとしています。また検察官けんさつかんが弁護士べんごしにいったん提示ていじした条件じょうけんは、基本きほん的てきにその後そのごの交渉こうしょうで譲歩じょうほすべきでないとしています。

そして交渉こうしょうの経過けいかについては、その概要がいようを書面しょめんにまとめ記録きろくに残のこすよう求もとめていますが、「自由じゆうな協議きょうぎが阻害そがいされないよう配慮はいりょする必要ひつようがある」として、検察官けんさつかんが交渉こうしょうの過程かていで容疑ようぎ者しゃなどから事情じじょうを聴きく様子ようすについては、基本きほん的てきに録音ろくおん・録画ろくがすることは、なじまないとしています。

「司法しほう取引とりひき」の交渉こうしょうが途中とちゅうで決裂けつれつした場合ばあい、その過程かていで得えた供述きょうじゅつなどを証拠しょうことして使つかうことはできませんが、検察けんさつ側がわが裏付うらづけ捜査そうさなどで得えた新あらたな証拠しょうこは交渉こうしょうが決裂けつれつしても、裁判さいばんで使つかうことが法律ほうりつで認みとめられています。

しかし最高さいこう検察庁けんさつちょうは、交渉こうしょうが決裂けつれつした場合ばあいにこうした証拠しょうこを使つかえば、検察けんさつの姿勢しせいに不信ふしん感かんを持もたれかねないとして、基本きほん的てきには裁判さいばんでは使つかわないとしています。

最高さいこう検察庁けんさつちょうは「弁護べんご側がわとの協議きょうぎでは誠実せいじつな対応たいおうに努つとめ、国民こくみんの理解りかいを得えながら時間じかんをかけて制度せいどを定着ていちゃくさせたい」と話はなしています。